うちの味噌汁を好きな猫


うちの味噌汁を好きな猫


 テーブルの上でうちの猫が不審な行動をとっていた。
 なにやらインスタントのお味噌汁のお徳用パックが気になるようだ。
 手で押さえたり、顔を近づけたりしている。

「うん、食べたいんですか? それ、味噌汁ですよ? いまままで飲んだことないですよね……? 興味を持ったこともないですし……。 まあ、ご飯のときまで待っててくださいよ」

 そうして、夕食のときに味噌汁の入ったお椀を差し出してみる。
 うちの猫は申し訳程度ににおいを嗅いで、顔を背けていた。

「こんなの食べるわけないじゃないの」

 といった表情だ。

「いや、そうですよね。食べないですよね。僕もそう思ったんです」

 偏食なうちの猫が気に入るようなものでもない。
 と、テーブルの上を歩いて、うちの猫がお徳用パックに近づいた。
 パックを開けて、少しギザギザになっているところへ、頬をこすりつけている。
 目を細めて満足げな表情だ。

「やっぱりこれ! お味噌汁のギザギザって最高よね! 気持ちいい!」

 という顔だ。

「うーん、そういうことをするためのものじゃないんですけど……」

 うちの猫はかなりご機嫌な様子だった。
 ひたすらスリスリしている。

「まあ、喜んでいるならいいです」

 その後しばらくのあいだ、うちの猫はお味噌汁のパックにはまっていた。


 ドスンドスンという音が、窓の外でしていた。
 トタン屋根のほうからだ。

「もう、またですか。そこから入るのはやめてください」

 いつもなら窓を開けて、うちの猫を入れてあげるのだけれど、しばらく窓を閉めたままにすることにした。
 ここから入るのをやめさせるためだ。

「あーおあーお!」

「ちょっと、閉まってるんだけど!」というふうに、うちの猫が鳴いている。
 外からは見えないはずだけれど、いちおう僕は布団を被って寝たふりをしておいた。

――だいたい、いつもすぐに起きるわけではないですし、ちょっとくらい待たせても問題ないはずですよね。

 うちの猫の鳴き声が変わってくる。

「フーン? フーン?」

「なんで開けないの?」という感じだ。

 次第に鳴き声が小さくなる。

「フウーン……」

「私、入りたいのに……」と言っているのだろうか。

「キュルキュル」

 あまり聞いたことのない声でも鳴き始めた。

――さすがにこれは開けないと……。

 窓を開けると、ためらうように「フウーン?」と鳴いたあと、ひょいと部屋へ飛び込んできた。
 のどを鳴らしながら、僕の手におでこをぶつけるようにしてこすりつけている。

「ニャフルルル、ニャフルルル」

 のどを鳴らしているので、変な声だ。

「あはは、もう、しょうがないですねー! でもそこの窓からは入らないようにしてくださいね」

 うちの猫は聞いているのかいないのか、しばらくおでこをこすりつけたあと、ピタリと止まって、スタスタと部屋から出ていってしまった。
「いちおう感謝したからね。これでいいんでしょ」という態度だ。

――ああ、もう、これ、絶対また入ってくるじゃないですか……。

 まあ、開けますけどね、と思いながら、僕はため息をついた。
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小説家になろうに、猫のエッセイを投稿しています。
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うちのかわいいかわいい猫
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